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音痴女子が歌を録音したら…“口笛”が返ってきた話【静かな湖畔事件】

暑い季節になってきましたね

あなたは 目に見えないものによる不思議で怖い体験をしたことがありますか?

はい、私はあります

今回はカレーを食べてHOTになった体を 少し冷やしませんか?

音楽の授業中。
課題曲をクラス全員の前で、一人ずつ歌うという……そう、「公開処刑型のテスト」があった。

なぜ、ペーパーテストはこっそり採点されるのに、歌のテストだけはみんなの前で披露なんやろ。
あれ、ほんま、なんの罰ゲームなんやろね?

……そんな理不尽に立ち向かうべく、私は決意した。
「せめて…少しでもマトモな歌声を披露せねば!!」と。

当時、私は思春期まっただなかの年頃女子。
実家の2階の自室で、日曜の午後、こっそり歌の練習に励んでいた。

ただひとつ問題があった。
私、めっちゃ音痴って言われてた。家族に。ずっと。
あまりに何度も言われ続けて、人前で歌うのがこわくなってしまったくらい。

(……親の言葉って、ほんま、染み込むんよな)

「ほんまにそんなに下手なんかな…」
不安になった私は、カラのカセットテープを引っ張り出し、ラジカセで自分の歌声を録音してみることにした。

スマホもなかったあの頃。
“第三者の耳”として、ラジカセに頼るしかなかった。

カセットをセットし、歌い、録音し、そして――再生。

……カチッ

…。

Oh…やっぱり…音痴やん私。
分かってたけど。やっぱり。でも最後まで聴いてみよ……と、そのとき。

――ん?

歌声の後ろで、なにか…聴こえる?

耳をすませると、
かすかに、「静かな湖畔」のメロディー。

しかも――口笛で。

?????????

自室にひとりでいたのに?
私しか録音してへんのに?
カセットを再生したら、自分の歌声の裏で“誰かの口笛”が流れている。

……え、何これ。こっっっわっっっ!!

急いで階下にいた母のところへ行き、事の顛末を説明。
「カクカクシカジカやってん!!」
母を連れて再び自室へ。

再現開始:

私、歌う

録音する

再生する

……また聴こえる。
私の歌声と一緒に、やっぱり「静かな湖畔」の口笛が、流れてる。

その瞬間、私と母の顔が真っ青になった。

母「……そのカセット、捨てなさい!!!」

それが、“静かな湖畔事件”のすべてだった。

あのカセットは、その日のうちに処分。
そして私は、それ以降、自室で録音することは二度となかった。

録音……こわい。

 

……それから20年。
今はスマホで動画を撮るのも当たり前の時代やけど、
私は未だにちょっと……録音がこわい。

とくに、ひとりのときの録音や撮影。
あの日の口笛が、ふと、頭の片隅をよぎるから。

 

“ちっちゃいことは気にしない”がモットーやけど、
あれだけは……未だに、トラウマやねん。

追伸 私の自室は鬼門でした

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